日が沈み宵が辺りを支配し始める頃、それは人に似て非なる者たちにとっての夜明けを意味する。魔…我々人間はそれらの生物をそのように総称、区別し、畏怖の対象として古来より伝承している。しかし所詮それは伝承。信憑性もなく現代にて信ずる者は昔よりは総体として減っているであろう。だから動きやすい。ゆえに闇に紛れやすい。だからハロウィンなどというものが世界で市民権を得ているのだ。獲物自ら敵である魔に扮してくれる日。なんと好都合であろう!動きやすきことこの上ない!! かような思考を脳内に巡らせながら口内で涎をしたたらせ舌なめずりをしながら物色する魔一匹。そのような態度をドレスの漆黒にひた隠す麗しき美女一人。男から見れば彼女は本来高嶺の花であり、それが地上に降りてきたとなれば願ってもない獲物に見えるが…彼女から見る世界は真逆だ。見えるものすべての男が格好の獲物。その状況はシマウマの群れの中で獲物を吟味するライオンそのものである。彼女は今宵も喰らい生きる。暗い闇に身を紛れさせながら。嘘も本当も闇に紛れさせながら。彷徨い歩き続ける。
はじめに言います。僕はこの作品を気に入っています。何が気に入っているかといえばエンディングの読後感がすごい好きだからです。いい読み切り漫画を読んだ気分になります。自分の作品に対して少々甘すぎですかね?であればしっかり悪い点も言いましょう。エンディングをきれいにしてしまった結果、明らかに僕の他の作品に比べマゾ性癖、敗北癖が抑えられてしまって使用感でいうとどうしても劣ってしまっていると思っております。そのため、他の作品から入った方にとってはあまりご満足いただけない作品なのかななどと思っており、そのことに対して少々負い目を感じながら今日まで生きてきた次第であります。だから自分の中でもう少し推したいけど推せないそんな歯がゆい位置にいる作品にいるのが本作品です。
さてこの作品で一番印象に残っていることは、何度も申し上げますがエンディングです。このエンディング当初の構想ではもっとグレーなバッド強めのエンディングにする予定でした。ですが書いてくうちにですね…。そのエンディングに違和感が出てきてしまってですね…。というのも彼女、メイ様の幸せを考えたときにですね。少年に託してみるのも悪くない…いやむしろそちらの幸せをメイ様がご所望されているように私はお見受けいたしましてね…。でしたらメイ様の望みを尽力させていただこうとそう思った末のあのエンディングなんですね!
ですから僕はそのエンディングを書けてよかったなと心からそう思っております。たとえその先に種族の差が依然として隔てられていたとしても彼女たちは幸せなのだとそう思って今日も生きております。
あとはですね。貞方様に作品にどんぴしゃのイメージのイラストを描いていただけて本当によかったです。もうほんといい横乳といい太ももですよね…!!!その中で死ねるなら本望!!
そしてそして、当作品のメイ様を琴音様に演じていただけたのが大変嬉しゅう思います。もう僕の最初に触れた音声作品は琴音様でしたので本当にひとつ目標が叶えられてよかったと思っております。確かにR18という実用性が求められる世界においては少々薄味やもしれませんが、私にとってはこれからも大事に抱え続けていたい要素が詰まっている宝物ような作品です。なんかの折に聞いていただけますと幸いです。